工程間搬送システム（ラップ包装前のダンボール搬送）

相談の経緯：工程間を結ぶ運搬の荷崩れが問題になっていた

248秒ごとに１回、10個×８段に積まれた段ボールを運ぶ作業

冷凍食品の生産現場に導入されたAGVです。大量に作られる冷凍食品を満載した段ボールはロボットアームで積み込まれ、荷崩れ防止のラップをかけられて出荷されていきます。荷物を積むこと、段ボールにラップをかけることは自動化されていましたが、これらは別々に動いているため、工程間を運搬で結ぶ必要がありました。

これまでは、それを人間が運搬していました。

荷崩れ防止のラップがまだかかっていない状態での運搬は、安定性が悪く、段積みパレットを地面に置く際にぐらぐらと揺れます。これは精神的に負担が大きいうえ、事故が発生する可能性もありました。さらに、数メートル往復するだけで頻度も高い単純作業は、担当者がやりがいを見出しにくいという問題もあり、これも無視できないものでした。

お客様の課題：工程間を荷崩れ無しで結びたい

数ある連結手段の中で、AGVが持つ圧倒的な優位性

二つの工程を連結する手段は、いくつか考えられるでしょう。

一つには、コンベアで結ぶという手段があります。これはローコストで一般的ですが、工程を分断してしまう性質があります。絶えず物が動き続けるコンベアは、人がまたぐことができません。働く人たちは、コンベアがあることで、必要以上に長い移動距離を強いられます。また、工程が分断されてしまい、働く人のコミュニケーションが減少してしまうデメリットもあります。

AGVの大きな特徴は、点と点を結び付けながら、物理的な障壁を作らないことです。

AGVは床に貼った磁気テープの上を走りますが、とても薄いため、自由にまたぐことができます。また、障害物を自動で検知する安全装置がついていますので、衝突なども事前に回避できる設計がなされています。

導入後：現場の動き見ると解決策が見えてくる

搬送作業を数時間かけて観察

この運搬の最大の課題は荷崩れです。作業者は、高く積まれた不安定なダンボールを安全に運搬するため、ワークを一旦地上に降ろし荷崩れ防止のラップを巻くのですが、降ろすときの縦揺れに問題があることに気づきました。

コンベア間での搬送は水平です。水平搬送時はワークが停止した際、横揺れが発生しますがそれほど揺れません。

数時間現場を観察し、縦揺れを発生させなければ荷崩れは無いと単純なことに気づいたのです。

導入したAGVは、地上コンベアとパスライン（搬送高さ）と搬送速度を統一しました。

また、発進時の加速も一定に制御することで荷崩れの問題が解消したのです。

それまで単純作業に強いられていた作業者が他の仕事で活躍できるようになり、生産性とともにワークライフバランスの向上にもつながりました。