40トン金型搬送AGV（無人搬送車）

相談の経緯：金型入れ替え時に発生するクレーン搬送が大きな負担に

型を入れ替えるためのクレーン作業がボトルネックポイントに

自動車製造のプレス工程では、大判の金属板をプレスして瞬時にドアなどパーツの形に変えていきます。この時、重要な役割を担うのが金型です。この金型は巨大なものも多く、重さも30トンにも上るものもあります。

依頼をいただいた自動車プレス工場では、この金型の運搬が課題になっていました。

製造する型を変えるためには、金型を入れかえる必要がありますが、これが大変な作業となります。これまではクレーン運搬を行っていましたが、数十トンもの金型を吊るして運ぶのは、細心の注意が求められます。万が一落下すれば、大事故になりかねないため、運搬の際には工場全体の稼働に大きな影響がでていました。また、クレーンを動かすオペレーターにかかる負荷や、可動範囲に物理的な制約があるなど、不都合も多く出ていました。

また、クレーン搬送をする時間はほかの運搬作業ができず、それがボトルネックポイントになっていました。

お客様の課題：より安全、安定的に金型の入れ替えを

超重量級の荷物もすいすい運ぶ性能と信頼性

そこで、AGVによる平面搬送を検討することになりました。

重量物を安定して運ぶには、それに見合った車両が必要となります。今回は荷物が数十トンにも及ぶことから、提携する株式会社佐野車輛製作所様に車両部分の制作を依頼しました。同社は、80年以上の歴史を持ち、運搬用車両においては大きな信頼のあるメーカーです。

駆動の推力に高出力モーターを装備し、操舵には油圧装置を使用するなど重量物搬送にかかわる搬送のノウハウがあります。

それにPLCや走行センサーなど、シコウの技術を組み合わせることにより、大型運搬用のAGVが完成しました。安全装置は、機械式バンパー、障害物センサー、警報器、回転灯、非常停止ボタンを標準装備しています。

導入後：搬送待ちのボトルネック解消と安全な平面搬送の実現

クレーン搬送のリプレイスとしても効果的

重量物搬送が可能なAGVは、クレーン搬送の代替手段として大きな可能性を持っています。磁気コースを敷設できる範囲であれば移動の制約はなく、また、地面を搬送するため安全性は格段に上がります。搬送時のオペレーターに与える心理的な負担や他作業の待ち時間も減ったことから、この工場でも金型の入れ替え作業がスムーズになっています。