2026.10.07
AGV導入で失敗しないための7つのポイント|無人搬送車メーカー・シコウ
AGV導入で失敗しないために確認すべき7つのポイントをAGVメーカーが解説。搬送物、走行ルート、安全対策、バッテリー、AGV・AMRの選び方、メンテナンスまで、工場の搬送自動化で押さえるべきポイントを紹介します。
無人搬送車は「走れば成功」ではありません
工場や物流施設を中心に、人手不足への対応や生産性向上を目的として、AGV(無人搬送車)やAMR(自律走行搬送ロボット)の導入が進んでいます。
しかし、AGVは導入すれば必ず省人化できるわけではありません。
「思ったより人の手が必要だった」
「途中でよく止まる」
「搬送量が足りない」
「既存設備との連携がうまくいかない」
「導入したものの現場で使われなくなった」
こうした結果を防ぐために大切なのは、AGVそのものを選ぶ前に、何を、どのように運び、現場全体をどう変えたいのかを整理することです。
40年以上AGVに携わってきたシコウの経験から、導入前に確認しておきたい7つのポイントをご紹介します。

1.「AGVを入れること」を目的にしない
AGV導入で最初に考えるべきことは、車両の種類ではありません。
まず、
「現在、誰が何を運んでいるのか」
「1日に何回運んでいるのか」
「どれだけ時間がかかっているのか」
「どこに負担や危険があるのか」
を整理することが重要です。
例えば、人が台車を押している工程だけをAGVに置き換えても、積み込みや荷降ろしに毎回人が必要であれば、期待したほどの省人化につながらない場合があります。
反対に、搬送だけではなく自動移載まで含めて検討することで、人が関与する工程そのものを減らせることもあります。
「AGVを何台入れるか」ではなく、「現在の搬送工程をどう変えるか」。
ここから考えることが、AGV導入の第一歩です。
2.搬送物は「重量」だけで判断しない
AGVの選定では、「500kgを運びたい」「5トンを運びたい」といった重量条件に目が向きがちです。
しかし実際には、
・搬送物の大きさ
・重心位置
・オーバーハング
・荷姿
・積載時の安定性
・移載方法
まで確認する必要があります。
同じ1トンでも、車体中央に載る1トンと、大きく張り出した位置に載る1トンでは、AGVに求められる構造はまったく異なります。
特に大型・長尺・重量物では、単純な積載重量だけでなく、走行時や停止時、旋回時まで含めた機械成立性を検討することが重要です。
3.走行ルートは「距離」より現場環境を見る
AGVは平坦で何もない場所だけを走るわけではありません。
実際の工場には、
・狭い通路
・交差点
・人の横断
・フォークリフトとの共存
・床面の段差や継ぎ目
・傾斜
・シャッターや自動扉
・エレベーター
・既存設備
などがあります。
特に重量物AGVでは、わずかな傾斜でも必要な駆動力や制動性能が変わります。
「A地点からB地点まで50m」という情報だけでは、適切なAGVを設計することはできません。
シコウでは現地調査を重視し、AGV単体ではなく、実際の走行環境を含めて搬送システムを考えることを大切にしています。
4.新しい走行方式が最適とは限らない
近年、SLAMなどを利用したAMR・自律走行ロボットへの注目が高まっています。
一方、決められた工程を高い再現性で繰り返す製造現場では、磁気誘導方式などのAGVが適している場合もあります。
大切なのは、
「新しい技術だから選ぶ」のではなく、「その現場に適しているから選ぶ」ことです。
レイアウト変更の頻度、搬送重量、停止精度、周辺設備との連携、人との共存などによって最適な方式は変わります。
AGVかAMRか。
磁気誘導か自律走行か。
方式ありきではなく、現場から逆算して選択することが重要です。
5.バッテリーと充電時間まで含めて搬送能力を考える
AGVの能力は、最高速度だけでは判断できません。
1回の搬送時間、待機時間、積み降ろし時間、充電時間を含めて、1日に必要な搬送量を満たせるかを確認する必要があります。
例えば高速なAGVであっても、充電のために長時間停止すれば必要な搬送回数を確保できないことがあります。
逆に、適切なタイミングで自動充電を行うことで、少ない台数でも効率的に運用できる場合があります。
重要なのは車両性能ではなく、
「必要な搬送量を安定して処理できるシステムになっているか」
という視点です。
6.安全は「センサーを付ければ終わり」ではない
AGVは人や設備が存在する空間を走行します。
そのため、
・人をどこで検知するか
・どの距離から減速するか
・どこで停止するか
・交差点をどう制御するか
・設備とどのようにインターロックするか
・非常停止時にどこまで進むのか
などを事前に検討する必要があります。
特に大型・重量物AGVは、小型搬送ロボットとは運動エネルギーが異なります。
重量が大きくなれば、それだけ安全な停止や制御に求められる設計も高度になります。
安全装置を追加することだけではなく、運用・走行経路・設備連携を含めたリスク低減を考えることが重要です。
7.導入時だけでなく「10年後」を考える
AGVは一度導入すると、長期間使用される設備です。
だからこそ導入価格だけでなく、
・故障時に対応できるか
・交換部品を入手できるか
・制御機器を更新できるか
・仕様変更や改造ができるか
・メーカーが長期的に保守できるか
という視点も重要です。
シコウでは、20年以上使用されてきたAGVのリプレースや、老朽化した他社製AGVの更新にも数多く取り組んできました。
長年使用されたAGVを見ると、導入時には予想できなかった工程変更や設備変更が数多くあります。
だからこそ私たちは、AGVを「納入したら終わり」の設備ではなく、お客様の現場とともに育て、長く使い続ける生産設備だと考えています。
AGV導入成功のポイントは「現場から考えること」
AGV導入で失敗しないために必要なのは、高性能なAGVを選ぶことだけではありません。
搬送物、走行環境、搬送能力、安全性、周辺設備、充電、そして将来のメンテナンスまで含めて考えることが重要です。
そして何より、
「AGVを導入すること」が目的ではなく、「現場をより良くすること」が目的です。
シコウは、大型AGV、特殊AGV、重量物搬送AGV、既存AGVのリプレースなど、汎用品だけでは解決できない搬送課題に取り組んできました。
「この重量物を自動で運べないだろうか」
「古いAGVを更新したいが、図面が残っていない」
「他社では難しいと言われた」
「AGVとAMRのどちらを選べばよいかわからない」
そんな段階からでも構いません。
完成した仕様をお持ちいただくのではなく、まずは現場の困りごとをお聞かせください。
シコウは、お客様と一緒に「本当に必要な搬送のかたち」を考えます。